「ボッチプレイヤーの冒険 〜最強みたいだけど、意味無いよなぁ〜」
第25話

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エルシモとの会見編
<口だけの賢者>


 
 「なるほど、ではその高級宿屋では食事とか飲み物も宿代に含まれているのね」

 収監所の一階にある執務室ではメルヴァに頼んだ軽食を待つ間もエルシモさんとの会話が続いてる。今は彼が前に一度だけ泊まった事のあると言う、帝都の高級宿屋の話を私に教えてくれていた

 「そうだ。流石に酒だけは別料金だが、食事は基本何を食べてもサービスと言う事になっている」
 「で、そこの料理よりもこの収監所の料理の方がいいわけだ」

 う〜ん、にわかには信じられない話ではあるけど、そんな事でわざわざ嘘をつくとも思えないんだよなぁ

 「最初に食べた時はあまりのうまさに我を忘れて一気に食べたくらいだからな。流石に最高級宿屋は泊まった事がないからそこと比べる事はできないが、少なくとも俺が一度だけ泊まった事がある帝都の高級宿屋では、別料金の特別料理も含めてこれほどの料理は出されていなかったと思うぜ」
 「そうなの。でも、ここであなたたちに出している料理に使われている材料はそれほどいいものではないのよ。それに作っているのも、うちの料理人たちよりもかなり腕の落ちる子達だし。と言うより、そもそもあの子達はうちのメイドで、正確には料理人ですらないわよ」

 そう、実はここの料理を作らせているのは純粋な料理人ではなかったりする
 接客メイドの中には料理スキルを少し高め、と言っても5レベル前後だけど持っている子達がいて、数が多すぎて仕事が無いメイドたちに仕事を与える一環としてその子たちをこの収監所の料理人として配置していると言うわけだ
 確かに料理人たちも今の城の規模からすると少々多すぎではあるけど、そこそこ仕事はあるからメイドほど人が余っている訳ではないからね

 「あのレベルで料理人じゃないだって!? それに食材も?」
 「そうよ。まぁ、その話は後でした方が解り易いだろうから後回しにするとして、ベットにも驚いていたわよね。マットレスがどうこうって。なに? この国ではベットに何を敷いているの? もしかして綿花が名産品でそれを原料にした綿で作られているとか?」

 昔の日本は汚染されていない自然の土の上で綿花を大量に栽培できたから綿を使った布団が主流だったらしい。だけど今の時代、大地は汚染されてすべての植物は工場で作られるようになった為に食料以外の植物のほとんどはすでに絶滅している。現在も一応わずかに残っている物もあるけど、その多くは裕福層の中でも植物プラントを独自で用意できるほど凄い、本当にほんの一部の大金持ちが道楽で栽培しているか、種の保存目的や研究材料として学術的な理由で栽培されているだけだから一般に流通することはほとんど無い

 現に綿花を使った加工品はいくらお金を積んだとしても手に入れることすら難しい最高級嗜好品だ。また、うちの農場も食料品がメインで綿花栽培行っていない。店で出すわけではないから大量に必要となる事は無かったし、裁縫関係で使う物は自分で栽培するまでも無く、素材アイテムとしてNPCの店で安く簡単に手に入ったからね

 もしこの世界で綿、または綿花が安く簡単に手に入るようならぜひとも買い付けたい所だけど

 「綿花なんて高級品をベットの敷物になんて貴族でもしないぞ。いや、かなりの高級品ではあるが上掛けなら鳥の羽や綿を使って作る事があると聞いたことがあるか。だが、少なくとも俺は見たことが無いし、前に泊まった高級宿屋でも使われてはいなかったぞ。まぁ、普段の宿とは違ってかなり高級な毛布は使われていたがな」
 「そうなの」

 エルシモさんが言うには一番安い宿で板張りの床に厚手の布を敷いて毛布に包まるか、少しいい宿屋でも麻や木綿を重ねた硬いマットが木のベットに置いてある程度なんだってさ。それに綿花もあるにはあるけど大量に栽培されている訳ではない上に、綿に加工するにはかなりの手間がかかるから一部のプレート系防具の衝撃緩衝材くらいにしか使われていないそうな。残念。昔話に出てくる布団とやらに寝てみたかったんだけどなぁ

 あ、そう言えば

 「ねぇ、さっきスプリング入りのマットレスって言っていたけど、この国にもスプリングがあるのね」
 「ああ、確か200年ほど前に口だけの賢者なんて言われたものすごく頭が良くて強いミノタウロスがいたらしくて、そいつが伝えた物の中にあったらしいぜ」

 ミノタウロス? たしか頭は牛で体は屈強な人間の姿で、特徴としては力が強くて両手斧を主武器とする事が多い、獣人系モンスターだったよね。神話や御伽噺では迷路と言っていいほど複雑な迷宮を守っている事が多くて、村を襲わない代わりに生贄に若い女性を要求する事が多いモンスターでもあるね

 「そんな物の作り方を発明するなんて、ものすごく頭がいいミノタウロスなのね」
 「いや、それがよぉ」

 エルシモさんが言うにはそのミノタウロス、冷蔵庫や扇風機など今では普通に流通している便利な道具を色々と発案したらしいけど、自分自身ではそれを作り出す事は出来なかったし、その構造原理とか作り方はまるで解らなかったんだって。それでついたあだ名が口だけの賢者。なるほど、「こういう物があるぞ、できたら便利だぞ」と色々と教えてくれる所は賢者っぽいけど、考え付いたものを実際には自分で一つも発明しなかったのなら確かに口だけと言われてしまっても仕方がない

 でも、その発想や形状はきちんと教えてくれたから、それを元に昔の人たちが研究をして現在に伝わっているんだって。それらはマジックアイテムだから値段はかなりするらしいけど、少し大きな町へ行けば普通に手に入るらしいから作り方自体はこの世界にかなり広まっているみたいね

 「まぁ、そのミノタウロスは斧一振りで竜巻を起したり、地割れを起せるほどの強さだったなんて眉唾な伝承も残っているから、実際にいたかどうかは怪しいと俺は思っているけどな」
 「ああ、それくらいなら・・・」

 シャイナでもできるよ、と言いかけてやめておいた。無駄に怖がらせるだけだしね

 でも、ちょっと待って。知識は持っているけど作れない・・・って、もしかしてそのミノタウロスは私と同じユグドラシルプレイヤーなんじゃないかしら? たとえばニッケルを使った特殊鋼とかは無いにしても、リングメイルやチェインシャツがあるところを見ると鋼線を造る技術はあるのよね? それならばミノタウロスほどの力がある獣人なら、スプリングくらい鋼線を材料に使って力任せに作ろうと思えば作れそうな気がするけど、どうも私たち元ユグドラシルプレイヤーやNPCたちはゲーム内でスキルが無いとできなかった事はこの世界ではどんな簡単な事もできないみたいなのよ。現在の技術力を持ってしても再現不可能なはずの匂いや味、肌に感じる風の冷たさや日差しの暖かさなどの、この世界で実際にした体験から考えて絶対にここは現実の世界のはずなのに、私たちだけにはなぜか、まるでゲームのルールがそのまま適応されているかのような変な縛りがある

 例えば料理だけど、ユグドラシルでは材料をそろえてスキルを使用すれば出来上がったけど、この世界では少し違うようで実際に料理をしないと出来上がらない。でも、その料理を作るだけのスキルがあるのならば、誰でも作り方が頭に浮かんだ上に熟練した料理人のように調理する事ができるみたいなのよね。これはリアルで料理などした事が無い私が実際に試した所、簡単に料理できたから間違いない。そして作ることが出来るのだから当然作り方を人に教える事もできるのだ

 そこで教える事ができるのならば、料理スキルを持っていないアルフィスにも料理ができるのではないかと思ってためしに教えながら作らせて見たんだけど、結果から先に言うとこれが大失敗。一番簡単で誰にでもできるはずの、ただ肉に塩コショウをして焼くだけなんて簡単な事さえできずに、まるで炭のような黒コゲの塊にしてしまったの

 このように私たちは加工するスキルがあるから作れるけど、そのミノタウロスのプレイヤーはきっとマーチャント系のスキルを何も持っていなかったんじゃないかなぁ? だから現実の世界で使っている冷蔵庫や扇風機を知識として大体の形とか性能を教える事は出来ても、自分で作り出す事はできなかったし作り方も教えられなかったのだと思う

 あ、そう言えば

 「ミノタウロスと言えば何百年も迷宮を守るなんて言われるから長寿種よね。そんな頭のいいミノタウロスがいるのなら、一度会ってみたいなぁ。今どこにいるとかって話はないの?」
 「さっきも言った通り、伝承だって。もしかしたらまだ生きているかもしれないけど、当時もミノタウロスの国に居たらしいから少なくとも人間の世界には居ないだろうし、今どこに居るかは誰にも解らない。正直生きているか死んでいるかさえ解らないぜ」
 「そうかぁ」

 もしユグドラシルプレイヤーなら会ってみたい。私だけがこの世界に飛ばされたなんて事はまずありえないだろうと思うし、もしかしたらそのミノタウロスのプレイヤーも他のプレイヤーと合流して一緒に生活しているかもしれないしね。もしそうなら私もその一団に混ぜてもらってもいいかも

 「でも200年かぁ」
 「ああ、そんな昔だからなぁ」

 エルシモさんは勘違いしたみたいだけど、私は別の事を考えていた。200年。仮に私と同じ様にユグドラシルサービス終了時に転移したのだとしても、同じ時代に転移するわけではないのだろうか? それともサービス終了なんかより、もっと前に転移していたとか?

 ユグドラシルはゲームだから現実世界とは時間の流れが違う。と言うか現実の一日で何度も昼と夜が来るからサービス中にゲーム内時間は何百年も経過していたんだよね。でも、そのユグドラシル時間だとしても200年となると現実世界でもかなりの時間になるはずだ。ならばサービス中にすでに転移は起こっていた? う〜ん、どうなんだろうなぁ?

 「まぁ、その時代には十三英雄と言う魔人を倒した英雄たちも居たらしいし、そいつらに倒されたのかもな」
 「えっ・・・」

 ドクッ!
 心臓が一つ大きく鳴る・・・

 「そう・・・」

 もしこの世界の人間たちに殺されてしまったのならかわいそうだ。私は人間のプレイヤーキャラクターだったから特に困らないけど、異形種でプレイしていて、その姿でこの世界に飛ばされていたらどんな事になっていたんだろう? 自分は人間なのに人間たちと共に生活できない、いや、敵対されるなんて状況はとても想像できない。それに私は拠点ごと飛ばされてきたからたとえ殺されてしまったとしてもシャイナたちが生き返らせてくれると思うけど、そのミノタウロスにはそんな仲間たちはいたのだろうか? もしいなかったとしたら・・・

 「あ、でもその口だけの賢者って言うミノタウロスが伝えた技術がこの国にも伝わっているという事は、案外人間と仲が良かったのではないかしら? 少なくとも敵対はしていなかったと思うわよ」
 「ああ、なるほどな。もし居たとして、人と交わらなければ技術は伝わらないか。でも、そう考えると人を食べるミノタウロスが人と仲良くしていたと言う事か。ますます御伽噺っぽくなって来るなぁ」

 エルシモさんはこんな風に言っているけど、冷蔵庫や扇風機なんて現実世界の道具を伝えたのならほぼ間違いなくプレイヤーだ。と言う事はきっと人間ともうまくやっていけたはずだ

 それとこのミノタウロスがユグドラシルプレイヤーだとしたら、この世界では過去に何度かプレイヤーが出現しているという事になる。時間はまちまちだろうけど、たとえ数百年前でもエルフなどの長寿種やアンデットなどの異形種、ビルドの組み方によっては不老のスキルを持っている人まで居たから今でも生きている人はきっといるはずよね。それに、もし転移者全員が私のようにサービス終了時に転移したのなら、これから転移してくる人もいるかもしれない。そんな人たちとも、きっといつの日か出会うことがあるんだろうなぁ。その時はなるべく仲良くできたらいいのだけれど

 いけない、いけない。少ししんみりしてしまった
 少し話がそれてしまったので、情報を聞き出す方向に話を戻すことにする

 「話は変わるけど、さっきお風呂に毎日入らないって言っていたけど、この世界の人ってそんなに不潔なの?」
 「おいおい、不潔ってなんだよ。ちゃんと川で水浴びもするし、たまには湯を桶に貰って浴びることもあるぜ」

 ・・・本当に毎日お風呂に入らないんだ

 「なんだよ、その目は。大体毎日湯を沸かすなんてそんな薪を買う金なんてないし、ましてや風呂に入れるほどの量の湯を用意できるほどの金持ちは冒険者なんてやってないぞ。まぁ、ミスリル以上の高ランクなら別だろうけどな」
 「へぇ〜、薪ってそんなに高いのか」

 エルシモさんが言うには、どうもお風呂を沸かすほどの水と燃料を合わせると一回銀貨で2〜4枚くらい必要で、なおかつその風呂を沸かす為の風呂桶と釜、何よりその風呂桶を置く家が必要になる。そんな家が買えるくらいなら冒険者なんて危険な仕事はやってないだってさ

 「当然安宿にもそんな風呂を沸かすだけの金も設備も無いぜ。だから普段は濡らした布で体を拭くだけで済ますし、金に余裕がある時なら井戸を使わせてもらって水浴びもするがその程度だ。まぁ、流石に冬場だけは桶に湯を貰って浴びる事もあるがな」
 「なるほど、お風呂に毎日入るのはそんなに贅沢な事なのね」

 日本人である私からすると毎日入るのは常識だと思っていたし、お湯を沸かすマジックアイテムも無限に水の出るマジックアイテムもあるのだから、お風呂を毎日沸かすことがそんな大変な事だなんてまったく考えてなかった。正直、これは本当にびっくり! でもそうかぁ〜、確かに聞けば聞くほどこの世界の常識から考えると、この施設は豪華すぎるみたいね。これではエルシモさんに高級宿屋並と言われても仕方ないか

 「あ、でもお風呂に入る風習が無いなら、毎日入らな・・・」
 「お願いします、毎日入らせてください! 一度仕事の後の風呂の味を覚えてしまってはもう元の生活には戻れません!」

 言い終わる前に土下座されてしまった。と言うか、この世界にも土下座ってあるのね
 でも、流石にこの構図はまずいわ。なんか上の者が無理やり下の者をいじめてるみたいだし、こんな場面を誰かに見られたら大変だわ

 とりあえず私も席を立ち、床に額をこすりつけるほど見事な土下座を続けているエルシモさんに近づく。とにかく一度椅子に戻さないといけないからね

 「大丈夫よ、解ったから椅子に・・・」
 「アルフィン様、御食事を御持っ!?」

 私がエルシモさんに土下座を止めるように声を掛けようとして正面に立ったちょうどその瞬間、先ほど頼んだ軽食を持ってメイドが現れた

 えっと、この子は一般メイドで名前は確か・・・ココミだっけ? 大きめなダークブルーの瞳とおっとりとした丸顔のおかげで子供っぽく見えるのに胸だけはシャイナ並に大きい子だ。(うちの子たちは、元がアニメやラノベのキャラがモデルだから胸の大きい子が多いのよ。なのになぜか自キャラはシャイナ以外胸は皆小振り。女性化した影響からなんだろうけど、実はココミやセルニアのように胸の大きい子を見ると、なんとなく劣等感を感じてしまうんだよね。秘密だけど)
 ダークブラウンの髪をオン・ザ・眉毛で切りそろえたセミロング、普段は常にニコニコしているけど、優しくて気弱な面のある性格からか何かあるとすぐに青い顔になって涙目になると言う、こう言う場面では一番出会いたくないタイプの子でもある

 等とメイドさんのプロフィールを思い出しながら現実逃避をしてみたものの・・・

 必死に許しを請うように床に額をこすりつけて土下座する囚人と、その前に立って固まる女主人。そして、とんでもないものを見てしまったとおろおろするメイドと、それを見ながら複雑な表情を浮かべる執事。なんとも困った風景である

 しまった、囚人を監視しやすいよう部屋に扉をつけなかった事が裏目に出た
 元々この施設は懲罰用に作った独房以外扉が無い。それは囚人が立てこもる事ができないようにとの配慮だったけど、そのせいでまさかこんな事になるとは!

 見てはいけない物を見てしまったと、どうしたらいいか解らず目だけが泳いで体を硬直させているココミに、私はとりあえず落ち着かせる意味もこめて両肩に手を置き

 「なんでもないのよ。そう、なんでもないから気にしなくていいのよ」

 と、微笑みながら声を掛ける。大丈夫、これで彼女はきっと冷静になってくれるはず! そう冷静になってくれるはずなんだけど・・・なぜなの? ココミはいきなり目にいっぱい涙をため、青い顔をしてガタガタと震えだした

 「見ていません、私は何も見ていません! ですから、ですから平に、平にご容赦を、いや、なにとぞ御許しください!」
 「あ〜だぁかぁら! 大丈夫よ。本当になんでもないんだって」

 ココミだけに涙目になるのは解るけど、どうしてこんな反応するかなぁ。と言うか、私ってそんなに怖い顔してた? 確かにあせっていたから少し笑顔が引きつっていたし、肩に置いた手にもほんの少し、本当にほんの少しだけ力がこもってしまったかもしれないけど・・・

 そんな途方にくれかけた私に、ギャリソンが助け舟? を出してくれた

 「あ〜、アルフィン様。多少混乱はしているようですが、察するにココミさんはノックをしないで入って来た事を詫びているのだと思われます。私の監督が行き届かず、御不快な思いをさせてしまい御詫び申し上げます。君もちゃんと自分がなぜ御詫びしているのか説明しなくてはアルフィン様もなにを御許しになられたらよいのか御解りになって頂けないのですから、ちゃんと”ノックをしなかった失礼”を御詫びなさい」
 「はっはい! アルフィン様、ノックせず御声を御掛けするという失態をしてしまいました。なにとぞ御許しください」

 前後に起こったことからすると、まったく意味が通らない理由と謝罪。でも説明を続けるより、今の状況自体無かった事にした方がいいと言う事よね。なら私も

 「いいえ、いいのよ。ここは扉も無い部屋なのだから、ノックを忘れてしまっても仕方がないわ」
 「寛大の御心で御許し頂きまして、まことにありがとうございます、アルフィン様」

 すかさず頭を下げ、私の返しにすばやく乗っかるギャリソン。この対応の美味さは流石ね。まだココミは、今の状況に対応しきれていないのかフルフルと震えて今にも泣きそうではあるけど、そんな私とギャリソンの小芝居を見て少しは落ち着いたようだ。この隙にと、とにかく一刻も早く今の流れを無かった事にするためにエルシモさんをギャリソンが”ものすごいスピードで強制的に”立たせて椅子に座らせ、その後何事も無かったように私の後ろに立った

 とりあえず、これで誤魔化せたよね、よね!?

 「軽食を持ってきてくれたのね、ありがとう」

 唖然とするエルシモに、無言の圧力と満面の笑みで「解るよね? もうこの事にはもう触れないようにね!」と釘をさしてから、アルフィンはいまだ入り口付近で震えながら、一生懸命笑顔を作ろうとしている可愛いメイドさんに声を掛けるのだった

あとがきのような、言い訳のようなもの


 未定だったメイドさんの名前ですが、ココミに決まりました。ちょっと捻ろうと思ったけど、時間が無くて結局元ネタと同じ名前になってしまったw

 え〜、また本来行くはずだった所までとどかずに1話分埋まってしまった。私は大体1話5000文字後半、ハーメルン掲載時は毎回200文字ほど加筆修正して6000文字前後を目指して書いているのですが、余分な事を書きすぎるのかすぐに埋まってしまうんですよね。困ったものだ

 さて、今回も設定回っぽいです

 まず、料理を教えると言うところが出てくるのですが、これはセバスがツレアに料理を教えればいいと言っていたのでできると思います。また、風呂の薪代もweb版で下級貴族の娘がやっているメイドが毎日沸かしてもらえないという話なのでD&Dにおける裕福以上の家でしかまかなえないだろうという事で一日に必要な経費の20分の1のお金に設定しました

 次に、名前だけとは言え私のSS初登場のオーバーロードキャラである口だけの賢者の話

 ちゃんとした学校とかに行っているレベルの知識人や情報がいかに大事か良く知っている高位の冒険者ならともかく、多くの人はこの程度の知識しかないんじゃないかなぁ? と私は思っています

 正直一般大衆は口だけの賢者の存在は知っていても、ただの餌扱いだった人類がこの人? のおかげで奴隷階級までひき上げられたなんて、普通は知らないでしょうね
 たとえばアインシュタインが相対性理論を発見したと言う事は知っていても、彼が実は大の日本好きだったにもかかわらず、アメリカ海軍省兵器局顧問に就任していた時に、アメリカが日本に原爆を落とした事に責任を感じて(それどころか、戦争を終わらせるためだと説得されて最終的に原爆使用許可の書類にサインをしたと言う話を前にテレビで見たことがあります)第二次大戦後は一度も日本に訪れなかったなんて事は知らない人が多いですよね。現在の自分たちに与えられる恩恵や成果以外は一般の人はあまり興味が無いと言う一例です

 次にメイドが収監所の料理を作っているけど、そのメイドが高級宿の料理人よりもおいしいものを作るようなくだりがあります。それにもちゃんと理由があって、オバロでは普通の人たちが職業として得る事のできる一般スキル(これでも取得するのにはかなり大変らしいですが)よりも1レベルにつき1ずつ取れるスキルの方が上の扱いのようなのでこのような表現にしました。AUGの初期メンバーに料理人がいるので料理スキルは一般スキルではなく、ユグドラシルの職業スキルにちゃんと存在しますからね

 最後にリングメイルやチェインシャツですが、野盗たちが着ていたと思ってください。オーバーロードの元ネタ?として使われているD&Dに皮鎧の一つ上のランクの鎧として乗っているので、実際着ている人もいたんじゃないかなぁと
 鉄ならともかく、銀の冒険者なら流石に皮鎧と言う事もないでしょうし、かと言って値段の高いプレート系の重鎧はつけていないでしょうしね
 

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